ボーカリスト

「Closing World」が発売されて、2週間が経ちました。
この新しい音源の世界にどっぷりと浸かっていただけているでしょうか?

今回の音源を作るにあたっては、
ボーカルという事について深く考えました。

元々、と言っても18歳くらいまで自分はギタリストで、
ボーカル脱退後に後任を探したのですが、
曲のイメージや世界観に合う人が見つかりませんでした。

今思うと曲の世界観に対するこだわりが強すぎたのかも知れません。
自ら先頭に立ってこの世界観を表現するんだ!
と意を決してボーカルに転身したものの、
お世辞にも上手だとは言えず、色々な人に歌を教わりに行ったりして苦労したのを覚えています。

 

その頃から、ボーカリストとギタリスト。
二つの自分が共存するようになりました。

それはその後の、
BLUEというバンドでボーカル。
D≒SIREでギター。
という異質な経歴にも表れているように思います。

 

歌っている時の自分は、
世界観と調和のとれた演奏の上でしか歌えないほど繊細で神経質で。

ギターを弾いている自分は、
たとえ演奏が途中で止まったとしても、ギター1本のアドリブで
世界を構築できるくらい豪快です。

その二つの水と油のような境界が
最近、少しずつ無くなりつつあるように思えます。
特にギターに関して持っている根拠のない自信(スミマセン)
が歌の方に良いように影響している気がします。

1月25日のライブを観ていただいた方には、
その歌に対する変化は感じとってもらえたのではないか?と思っています。

 

今回の音源は自分の声質、音域、歌い回しについて試行錯誤を繰り返しました。
テクニック的なことだけでなく、
なぜ歌を歌うのか、理想のボーカリスト像とは。というような部分まで掘り下げて自分と向き合い、もう一度再構築した成果は出ていると思います。

また、それは作曲・編曲、歌のメロディーにも大きく影響しているので、
楽曲の変化としても感じとってもらえることでしょう。

 

機材についても今回の音源を作るにあたって
どうしても自分の思い通りの声を録音したくて
コンデンサーマイクとマイクプリアンプを新調しました。

Telefunken V76S

2014021301

真空管マイクプリアンプです。
1960年代に作られた機材だと思うので自分よりも人生の先輩です。
個体差があり、これが当たりなのか外れなのかはわかりません。
他のマイクプリとは一線を画すほど気持ち良く歌え、
声の強弱を余すところなく拾ってくれ、レンジが広く密度がありクリアです。

 

SONY C-800G

2014021302

真空管コンデンサーマイクです。
音はシャキっとしていてドンシャリ。ローが結構しっかりしています。
ロックな音色ではありませんが、暑苦しくなく清涼な風が吹き抜けるような音色が気に入っています。
このマイクに替えてからはEQはほとんどかけなくなりました。
自分的にはあとM251、U67を手に入れることができればマイク探しの旅は終着です。

 

理想のボーカリスト像に対する答えは出せないままですが、
落ち込んだり、自分を奮い立たせたりする日々の葛藤だけが、
新しい領域へと導いてくれると信じています。

次の音源は、より歌にフォーカスを当てた作品となる予定です。

SHIGE