自転車

運動についての記事を書いたところ、
メッセージをいくつかもらいましたが
何かしらの運動をしている人が多くて意外?な反応でした。
いや、意外だと言うのは失礼ですね…。
俺が運動している方が全然イメージできないと思いますし。

メッセージで
自転車に乗るのは有酸素運動なので体にいいよ、
というアドバイスをいただいたりしました。

自転車…。

思い出があります。
昔、と言ってもそんな遠い話ではないですが
速そうな自転車を買いました。

タイヤが細くて重量も軽く、
見るからに速そうなやつです。
距離計や速度計も付けてルンルンな訳ですよ。

「これで俺も風になれる」

そう思ったものです。
乗ってみるともちろん感動するくらい速いんですよ。これが。

そんな自転車を買って
嬉しくてたまらなかったので
おにぎりを持って(コンビニですが)遠くまで行こうと自転車に飛び乗りました。

嬉しくて速度もグングン上がります。
「俺は風だ!」
そう思ったものです。

どんどん家から離れていきます。
走行距離が1km、2km…と進みます。
「俺は自由だ!どこまででもいける」
そう思ったものです。

夢中でペダルを漕いでいますが、
自転車にはエンジンが付いていないので
体力が消耗します。
ふと気がついたら出発地点から
50kmを夢中で進んできました。

「俺はどこまででも!…ん?待てよ。」

50km進んだということは
50km戻らないといけないのか…。

お腹も減ったしおにぎりを食べて帰ろう。
ごはんを食べて休憩していると疲れがドッと出ます。

しかし、自転車を買ったということによって
脳内にはアドレナリンが出ているので
「俺は風だ!」
と思いながら帰り道を猛然と走ります。

最初からそうでしたがペース配分など
まったく気にしません。
常に「嬉しさ」=「速度」です。

75kmくらい走った頃でしょうか。
「なんか速度が落ちてきた…負けるもんか…。」

…。

その時。
ピキッ!

左足のふくらはぎがいきなり攣ります。

近くに芝生があったのでよかったのですが
自転車ごと芝生に倒れこみます!
ガシャ!

左足の筋を伸ばそうとした時。

ピキッ!

なんと右足も攣りました。

芝生で悶絶しながら
もう自転車には乗れない
しかし家まであと25km…

そんな事を考えながら
自転車を置いて真剣にタクシーで帰ることを検討していました。

1時間くらいその場にヘタリ込んでいると
かろうじて自転車に乗れるようになったので、
ふたたび走り出しますが、どうにかすると足が攣りそうなので
速度なんて出るわけがありません。

薄暗くなりはじめた道を、
渾身の力をふりしぼって進みます。
全力です。

あの光景は今でも忘れることができません。

「チリンチリーン!」

俺の横を、買い物袋を満載した
ママチャリのおばさんが走り抜けて行きました。

…。

真っ暗な中、
なんとか家までたどり着きましたとさ。

めでたしめでたし。

SHIGE

 

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